2014年3月6日木曜日

3.11を前に

私自身は生前お目にかかる事がなかったのだが、
咢堂塾の初代塾長・相馬雪香先生が亡くなったのが2008年。
それから3年後に起きたのが忘れもしない3.11、
東日本大震災だったりする。

そして発災から間もなく3年を迎える訳だが、
「学んであなたは、何をするの」
長らく続いていた答え探しのひとつに、
震災とどう向き合うかというテーマがあった。

出掛けに点けたテレビのニュースで、震災復興に関する
現地アンケートの結果が放映されていた。
「とぢらかというと」も含め、当初の期待に対して進んでいない、
もしくは遅れを感じている人は全体の8割を超えるという。

何が足りないのか。
人が足りない」のだと思う。

よく言われる生産の3要素に「人」「物」「金」がある。
ここでいう「人」は単なる労働力ではない。
何かを決める人、あるいは何かを推し進める人。
引っ張っていく人。


仲間内で話す最近のテーマに「咢堂塾で学んだ人」の像がある。
相馬雪香先生は、塾の立ち上げにあたりどんな人を育成したかったのか。
咢堂塾を通じて、何を世に問いかけようとしていたのか。

相馬先生が亡くなって、今年で6年になる。
そして大震災発災から3年。
震災を起点に、ちょうど折り返し地点から一巡した形になる。


現在事務局長を務める石田尊昭さんは、相馬先生と共に
咢堂塾を立ち上げた人物でもある。
石田さんを中心に、咢堂塾として如何に3.11と向き合うか。
そして尾崎財団として、何ができるのか。
活発な議論がこの一か月ほど続いていた。


議論の中で浮かび上がったのが
「咢堂塾の全国展開」そして「カリキュラムの強化」だった。
尾崎財団が所在する憲政記念館は永田町1丁目1番地1号に位置し、
いわば日本の政治の中心地でもある。
ここでの学びはあくまでも月に1,2回の通学が前提になっているが
遠方の方にとっては通学そのものがネックになる。
これを何とかしたいと思った。

インターネット、とりわけブロードバンドやWi-Fiが普及した現在では
動画を用いた講義配信も不可能ではなくなった。
単なる視聴なら動画を公開するだけでも終わる話なのだが、

なぜ、尾崎行雄なのか
なぜ、相馬雪香なのか
そして「なぜ、永田町1丁目1番地、憲政記念館」なのか。

咢堂塾のインターネット版を立ち上げるに当たり、
そこを徹底的に掘り下げる事にした。


技術的な検討に関しては、セキュリティレベルと利便性の折衷を
どの辺で図るかの検討を今も重ねている。
便利に寄りすぎるとセキュリティが甘くなる。
かといって強固すぎても今度は使い勝手が悪くなる。
その辺の設計は今の財団では私しか担い手がいないので
半べそをかきながらモデルケースの研究やテストサイトでの検証を
進めている。
ようやく「これなら、どうかな」というポイントが見えてきた。


受講方式も単なる動画聴講で終わらせず、可能な限り通学の
リアルな講義に相当する課題と達成感を共有したいとの思いから、
一度は憲政記念館に足を運んでいただく事、それと聴講後の
課題提出などのアレンジを盛り込むなど骨格が徐々に出来上がってきた。

併せて、ガイダンスや運営の体制づくり、受講者専用のサイト制作などを
オフタイムに少しずつ進めている。
来週には正式なリリースが出せる予定だ。


敢えてここ(=拙ブログ)でその話題を取り上げようと思ったのには
理由がある。
単に咢堂塾のインターネット版をスタートするだけではなく、前述の
「3.11との向き合い方」が大きく関係している。


詳細は後日の正式リリースに譲るとして、今回の試みは咢堂塾の、
そして尾崎財団の存在意義を広く問いかける節目になるだろう。


そして、もう一つの「カリキュラムの強化」に関しては、
インターネット版の立上げに合わせてリアル受講のメリットは
何なのかということの原点を見つめなおす所から始まった。
私だけの発案ではない、運営委員の議論からブラッシュアップして
徐々に形が見えてきた。


16期の通常カリキュラムは毎回3時間×16回、つごう48時間を
どれだけ活性化させるかに主眼を置いている。
講義の受講がインプットならば、それに見合ったアウトプットの場を
設ける予定でいる。
授業を聞いて、なんとなくディスカッションして、はいおしまい。
そんな形にはならない。
恐らく、過去の全15期とは違った、新しい咢堂塾になるだろう。



すでに応募の受付けは始まっているが、過去3回の入塾経験から
「学んだ果てに」何があるのかについても触れておきたい。

まずは、政治を志したい人。
16期修了の暁には、来年に控えた統一地方選の即戦力になるだけの
資質が必ず得られる。
今回の講師陣は、敢えてそちら寄りの顔ぶれとなっているし、何よりも
過去の卒塾生には党派を超えて地方自治体の議会で活躍している人が
数多くいる。
無所属で頑張る卒塾生も多い。




NPOや市民団体のフィールドで社会に貢献したい人にも
咢堂塾はうってつけの揺籃(ようらん)になってくれる。
初代塾長の相馬雪香先生は、カナダの友人から届いた「日本人は冷たい」と
書かれた手紙に一念発起して、日本を代表するNGO「難民を助ける会」を
立ち上げた人物だ。
本気の心があれば、世界を良い方向に導く事ができる。

もっとも、中には「しかるべき職位や立場にいなければ、そんな事は出来ない」
そう思う人もいるかも知れない。
16期の咢堂塾は、そんなあなたの「行動しない理由」をひとつひとつ剥がしていく。


何がしたいのか、自分を探している人だっていい。
かくいう私も、初めて憲政記念館を訪れた時は確固たる信念も目的意識も無かった。
それが、通っているうちに何となく今みたいになってきた。
私自身は政治を志向する訳ではないが、咢堂精神の復権が政治家の在り方や
外交の在り方、地方自治の在り方などおおよそ政治にまつわる全ての事象を
紐解く鍵になると自信を持って言える。


それだけのものを提供する用意が、咢堂塾16期には出来ている。
あとは、「あなた」がドアを叩くだけだ。

http://www.ozakiyukio.jp/


3.11を目前に控えての雑感である。

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