尾崎財団では、実に半世紀以上の歴史を誇る『世界と議会』と題した冊子を主に会員向けに発行している。
この連休は、財団が掲げる「世界」と「議会」のうち、世界について色々と想像を巡らしていた。
私が世界を語ったところでウクライナとクリミア半島の問題やら行方不明の状態が続いているマレーシア航空機の問題やら、横田めぐみさんをはじめとした北朝鮮拉致被害の問題などが一気に解決する訳ではない。
その一方で、切れかかったつながりを修繕し、手繰り寄せていけば再び強固な絆となるかも知れない。
そんな事を考えながら、尾崎ゆかりの2か国に想いを馳せた。
一つ目は、先週から始まったアメリカ・ワシントンの桜祭り。
これは尾崎財団としても積極的に応援したいイベントだ。
http://www.nationalcherryblossomfestival.org/
ワシントンの桜の始まりは、今から100年ほど前にさかのぼる。
当時の東京市長(現在の都知事に当たる)だった尾崎行雄は、第27代大統領のウィリアム・ハワード・タフト夫人が桜を所望しているとの噂を聞いて桜の苗木を贈った事に由来する。
最初の苗木は防疫が不完全だったのか駄目になってしまったが、2度目はきちんと対策を講じて、
また苗木の数も最初の2千本から3千本に増やして無事に太平洋を渡った。
その辺の経緯はWebで探せばいくらでも出てくるのでここでは割愛するが、ともあれ尾崎の桜が1世紀を経てアメリカの人々に喜ばれているのは、日本人としても財団の末席としても嬉しい限りだ。
私自身、財団との縁はかれこれ5年ほどになる。
それでも私自身の関心がこれまで薄かったのか、それとも財団でも重きを置いていなかったのか、この一大行事の事は誰も教えてくれなかった。
気付いたからには、ささやかなお祝いのメッセージを送りたくなる。
催しの成功と互いの国の良好な関係を願い、お祝いのメッセージを主催者に送った。
その後に思い浮かんだのは、尾崎のもう一つの外遊先として知られるイギリスだった。
再婚相手のテオドラ夫人がイギリスのハーフだったこともあり、尾崎とイギリスの縁も決して浅くはないだろうと踏んで調べようとしたのだが、期待とは裏腹に、ネットでほんの少し検索した位では目ぼしい情報に辿り着けない。
代わりに、テオドラ夫人の足跡に関してはとても興味深いものが見つかった。
尾崎テオドラ英子夫人は尾崎の妻であるだけでなく、「日本昔話」の英訳を手掛けた人物として取り上げられていた。
日本には著作権の消滅した古典などを中心に「青空文庫」というパブリックドメインのインターネット文庫が開設されている。
海外でも同様に「プロジェクト・グーテンベルグ」というオンライン図書館が存在する。
テオドラ夫人の貴重な仕事はグーテンベルグで見つけた。
http://www.gutenberg.org/files/4018/4018-h/4018-h.htm
インデックスによると、収録作品は以下のとおり。
訳さずとも「なんとなく分かる」題名もあれば、即座に浮かんで来ないものもある。
1.MY LORD BAG OF RICE
2.THE TONGUE-CUT SPARROW
3.THE STORY OF URASHIMA TARO, THE FISHER LAD
4.THE FARMER AND THE BADGER
5.THE "shinansha," OR THE SOUTH POINTING CARRIAGE
6.THE ADVENTURES OF KINTARO, THE GOLDEN BOY
7.THE STORY OF PRINCESS HASE
8.THE STORY OF THE MAN WHO DID NOT WISH TO DIE
9.THE BAMBOO-CUTTER AND THE MOON-CHILD
10.THE MIRROR OF MATSUYAMA
11.THE GOBLIN OF ADACHIGAHARA
12.THE SAGACIOUS MONKEY AND THE BOAR
13.THE HAPPY HUNTER AND THE SKILLFUL FISHER
14.THE STORY OF THE OLD MAN WHO MADE WITHERED TREES TO FLOWER
15.THE JELLY FISH AND THE MONKEY
16.THE QUARREL OF THE MONKEY AND THE CRAB
17.THE WHITE HARE AND THE CROCODILES
18.THE STORY OF PRINCE YAMATO TAKE
19.MOMOTARO, OR THE STORY OF THE SON OF A PEACH
20.THE OGRE OF RASHOMON
21.HOW AN OLD MAN LOST HIS WEN
22.THE STONES OF FIVE COLORS AND THE EMPRESS JOKWA
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